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山根義久・sippo|更新|2015/05/14

熱中症は死に至る病気 息づかい、目の充血に注意

倉吉動物医療センター会長の山根義久先生に聞く


  • ペットの熱中症が大きな問題になっています。
     山根 気温が上昇し湿度が高い今の時期は、特に気をつけたほうがいいですね。
    なかでもパグやブルドッグなどの短頭種は、呼吸器系の解剖学的特徴により熱中症にかかりやすいので、飼い主には細心の注意が求められます。
  • 何か兆候のようなものはありますか。
     山根 散歩をしていてゼエゼエという息づかいが止まらなくなったり、体温が上昇して体全体が熱くなったり、目が充血してきたりしたら、すぐに涼しい部屋の中に戻ってください。水を飲ませてやり、ぬらしたタオルで全身を拭いてあげましょう。症状がひどければ、氷水につけてやるのも有効です。
    そもそもこの時期の散歩は、朝晩の涼しい時間帯に、運動量に気をつけながら行くのが鉄則です。
  • 屋内で熱中症になるケースもあると聞きます。
     山根 犬は普段から体温が38度くらいあり、湿度と気温によって、それが容易に40度くらいまであがってしまいます。人間が快適でも、犬は暑さを感じている可能性があります。
    呼吸が速くなったり、鼻がかわいてきたり、エサを食べなかったり、という兆候が見られたら、室温を下げてあげましょう。短頭種なら、エアコンの設定温度は26度くらいにしてあげたほうがいいですね。
  • 症状が改善しない場合は、どうしたらいいですか。
     山根 放っておくと、ぐったりした状態になって尿や便をもらしてしまったり、血の混じった下痢をしたりします。そうなってから動物病院に来る飼い主さんも少なくないのですが、下痢が始まっていたら手遅れになる可能性が高い。播種性血管内凝固症候群(DIC)の状態となり、取り返しはつきません。
    呼吸が速くなって、氷水につけたりしてもそれが治らないようなら、すぐに動物病院に連れていってください。獣医師に診てもらったあとも、しばらくは様子を観察する必要があります。
    熱中症は、適切な対応を怠れば、死に至る可能性がある病気なのです。

(朝日新聞 タブロイド「sippo」 No.23(2014年7月)掲載)

山根義久

山根義久(やまね・よしひさ)

1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。


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