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村田香織・sippo|更新|2015/06/23

第4回 ペットを飼う前に知っておいてほしいこと その1

犬種選び編①


 飼い主とペットが幸せに暮らすためには、まず自分に合ったペットを選ぶことが大切です。自分が暮らしている場所の地域性や住環境、そして家族構成やライフスタイル、さらには体力や経済力なども考慮してペットを選ぶ必要がある、ということです。


 例をあげてみます。エネルギーレベルの高い牧羊犬や猟犬を都会のマンションの1室で飼えば、発散不足から吠えや破壊行動などの問題行動が出る可能性は非常に高くなります。よほど飼い主に時間的余裕や体力があり、毎日長時間の散歩や運動を十分にさせることができれば別ですが、そうでなければ犬はストレスがたまり、飼い主も疲れてしまうでしょう。


 現在、国際畜犬連盟(FCI)によって公認されている犬種は343犬種、公認されていない犬種を含めると世界には700~800の犬種があるといわれています。さまざまな犬種の性格や特徴については多くの本やネットに書かれていますので、ここでは、私が長年獣医師として働いてきて感じることを述べさせていただきます。


 まず第一に、純血種が雑種に比べて優れていると思っている人もいますが、それは誤解です。純血種は、人間が長い年月をかけて好みの姿形の犬を作るために、選択的な交配を行って遺伝的に固定したものです。そのためとても魅力的な外観をしていたり、訓練性能の高い犬種がいたりすることは事実です。また飼う犬を選ぶ際に、成犬になった時の姿かたちや大きさ、性格などをある程度予測できるというメリットもあります。その半面、純血種には遺伝性疾患やその犬特有の問題行動が見られることが多いことに注意が必要です。


 純血種がそっくりの姿かたちをしているのは、同じような遺伝子を持つ者同士を交配しているからで、姿かたちと同様に体質や性格も似ています。そのため、同じような病気になったり、同じ問題行動を起こしたりするのです。残念なことに犬を量産するために遺伝性疾患を配慮せずにどんどん繁殖してしまう業者もあります。心あるブリーダーさんは遺伝性疾患を持つ犬の繁殖は避けていますが、たとえ注意を払って交配したとしても、この問題を完全に解決することは難しいでしょう。


 私はかつて、純血種がそれぞれによくかかる病気を発症するのは彼らの宿命だと思っていました。しかしよく考えてみると純血種は神様が作ったものではなく、人間が意図的に作り出しているものです。そのため最近では、遺伝性疾患に苦しんでいる犬や、大切な家族の一員である犬の病気と一緒に戦っている心優しい飼い主さんを見ると、とても心が痛みます。


 純血種を選ぶ際にはその犬種の見た目だけでなく、気質やかかりやすい病気についても調べてみてください。


 次回も犬種についてのお話をさせていただきます。

村田香織

村田香織(むらた・かおり)

もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「パピーケアスタッフ養成講座」メイン講師でもある。


イヌとネコの「こころの診療科」よりの記事


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