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犬への愛情深い人生の先輩たち 熱意と経験は事業の大きな力に

毎日の犬舎の清掃作業は、犬の健康維持のために大切。だが時間も労力もかかる
毎日の犬舎の清掃作業は、犬の健康維持のために大切。だが時間も労力もかかる

 シェルターの日々の運営のなかで、最も手間がかかることの一つが、犬舎の清掃作業である。保護犬たちが暮らす部屋の床は毛や足跡で汚れ、とくに外が雨や雪のときは壁やドアまで泥水で黒くなってしまう。排泄物などが残されていると感染症を媒介する可能性もあり、清潔さを保つことは犬の健康維持のためにも大切だ。ブラシや高圧洗浄機も使って掃除するが、保護犬たちをいったん部屋から外へ出さなければならないため、けっこうな時間を要する。


 ピースワンコでは1年余り前から、犬舎の清掃や補修作業などの一部を近隣の広島県福山市と庄原市の会社に委託し、人を派遣してもらっている。保護犬の頭数が増えるにつれて、スタッフだけでは手が足りなくなり、その道の専門家の力を借りた方が作業効率も上がると考えたためだ。


 いまも午前中を中心に、毎日10人ほどに通っていただいている。その多くは私よりも年上のみなさんだが、若いスタッフ顔負けのバイタリティで、犬舎の維持・管理に大きく貢献してもらっている。


 清掃だけでなく、夏場の草刈り、冬の除雪、ごみの運搬、さらに木のせん定や日曜大工まで、作業は多岐にわたるが、それをカバーするのが長い人生で培われた経験だ。犬との散歩や遊びもお手のもの。かつて飼っていたという犬好きな方が多く、扱いに慣れているし、犬に対する深い愛情が感じられる。job(仕事)でなくmission(使命)として、保護犬たちの世話にやりがいを強く感じてくださっている方もいるようだ。


 最初はスタッフの補助として単純作業だけをカバーしてもらおうと始めたが、このぶんだと、優秀で意欲のある方には、保護犬のトレーニングや譲渡活動などにもかかわってもらえるかもしれない。知識や技能のレベルに応じて待遇を改善することも前向きに考えてみたい。人数が増えれば、通勤用のバスを用意するなど、働きやすい環境づくりにも努めたいと思う。


 人生100年時代。年金だけでは老後に余裕がなく、年をとっても身体が動く限り働き続けたいという人は多い。神石高原町のような田舎なら、農作業や山仕事を生きがいにもできるが、都市部では中高年が就職先を見つけることは簡単ではない。保護犬とかかわる仕事が、そんな方々の雇用の受け皿にもなれば幸いだ。


 若いスタッフには、人生の先輩と積極的に交わり、謙虚に学ぶ姿勢をもってほしい。多様な世代が力を合わせることが、ピースワンコ事業全体にとっても大きな財産になると思う。

大西健丞

大西健丞(おおにし・けんすけ)

1967年生まれ。NPO法人「ピースウインズ・ジャパン」代表理事。広島県神石高原町にシェルターを設け、捨て犬の保護・譲渡活動に取り組むプロジェクトを運営している。


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