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猫の生態あますところなく 猫好きにおすすめの2冊

 猫がなぜ好きなのか。人それぞれ理由はあるだろうが、観察すればするほど猫の自由きままな魅力にはまっていく人も多いはず。そんな猫の生態があますところなく表現された2冊がある。著者は、どちらも猫好きとして知られる小説家。ちょっぴりユーモアを交えた卓越した観察眼は、猫好きさんも共感する部分がたっぷりあるのではないだろうか。もし周りに猫好きで読書好きな人がいるのなら、ちょっとしたプレゼントにいかが。

 

『猫語の教科書』ポール・ギャリコ(著)灰島かり(訳)(ちくま文庫)
『猫語の教科書』ポール・ギャリコ(著)灰島かり(訳)(ちくま文庫)

「もし、猫に家を乗っ取られていたら……」。そんなことあるはずがないと思っていても、この本を読むと我が家の猫に疑いの目を向けてしまいそうなのが『猫語の教科書』だ。著者はポール・ギャリコ(1897-1976)となっているが、どうも雌猫のツィツァが書いたらしいその本は、猫が暮らしやすいように人間をしつけるための指南書だ。ツィツァは、時には甘えて、時には冷たく、人間を意のままにする。欲しいものがあるときは、声に出さない“ニャーオ”で人間を魅了させ、ゲームや読書をしているときは邪魔をして、気晴らしは猫の許しを得てからするものと人間に徹底させる……。なんとなくその行動は、我が家の猫に重なっているように思えてならないし、まんまと手中に落ちてしまった身に覚えも、なくはない。


 そんな猫の生態をユーモアたっぷりに伝える『猫語の教科書』。この本を開けるたび、ポール・ギャリコがどんなに猫を愛していて、そして人間のそばで幸せに暮らしてほしいと願っているかが伝わってくる。

 

『猫のいる日々』<新装版>大佛次郎(徳間文庫)
『猫のいる日々』<新装版>大佛次郎(徳間文庫)

 日本の猫好き作家の代表ともいえるのが、大佛次郎(1897-1973)さん。生涯にわたり約500匹もの猫と暮らした。その大佛次郎さんの猫に関する小説や童話、随筆を集めたのが『猫のいる日々』だ。


 特に随筆は、猫の可愛さだけではなく、(猫好きと知られて)しょっちゅう庭に捨て猫を放り込まれてうんざりしたり、つい拾ってしまう妻に「猫が十五匹以上になったら、おれはこの家を猫に譲って別居するぞ」と言ってみたり、猫好きが高じて起きた悩みも率直に書かれているところが面白い。今の時代からすると、ぎょっとするような話や不適切な言葉もあるけれど、それを差し引いても、猫、特に捨て猫や体の不自由な猫への愛情はあまりある。


 よく庭に遊びにくる鈴をつけた猫に「君ハドコノネコデスカ」と荷札に書いてつけてみると、「カドノ湯屋ノ玉デス、ドウゾ、ヨロシク」と返事が戻ってきた話(ここに人あり)など、思わずくすりとしてしまう話が多数収められている。

 

大佛次郎さんと猫(大佛次郎記念館所蔵)
大佛次郎さんと猫(大佛次郎記念館所蔵)

(白まるこ)


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