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NyAERA・AERA|更新|2017/02/22

ペットショップに行く前に、保護猫の存在を知って

預かりボランティアがピアノ講師だったことから、ピアノ、フォルテ……などの仮の名がつけられたきょうだいたち
預かりボランティアがピアノ講師だったことから、ピアノ、フォルテ……などの仮の名がつけられたきょうだいたち

「ネコノミクス」という言葉が生まれるほどのネコブームの一方で、全国で約6万7千匹が殺処分されるという現実。これを減らそうと奮闘する人たちがいる。

「あんたらがいるから、ネコが増えるんだ!」

 ネコを殺処分から救う活動をするボランティアは、地域住民からこんな罵声を浴びることがあるという。

 ボランティアが保護したネコは健康診断をして去勢や避妊手術を行い、里親を探す。人に慣れそうなネコは訓練するが、難しそうなネコは印をつけて、元いた地域に戻す。保護するにはまず餌付けしてなつかせなければならないのだが……。


理解を得る難しさ

 野良ネコ保護の相談や指導、殺処分前のネコの動物愛護センターからの引き受けなどをしている、「ねこひと会」代表、松尾ゆきこさん(54)は言う。

「無責任にエサだけ与える『エサやりさん』と保護ボランティアは違います」

 外でエサを与えるときは、食べ終わるのを見届け、住民に迷惑がかからないよう、片づけや清掃までするよう、指導しているのだが、冒頭のように怒る人がいるのは、こうしたボランティアの地道な努力が理解されていないのが一因だ。

 有志からの寄付金でキャットフードやトイレ砂、病院代などの費用をまかなう。行政から補助金を支給されていると思われがちだが、実際はすべて自腹だ。

 それでも彼女たちが保護活動をやめないのは、ひとえに不幸なネコをこれ以上増やしたくない一心からだという。

動物愛護センターから引き取られた生後数日の乳飲み子
動物愛護センターから引き取られた生後数日の乳飲み子

人と暮らせるように訓練

 東京・中野にあるトリミングサロン兼バール「スクウ」には、日替わりで保護イヌやネコが、“出勤”してくる。ペットを飼いたくても飼えない人や、「保護イヌ・ネコって何?」と思う人が、気軽に触れ合える場所にもなっている。

 サロンを経営するのは、甲本永久さん(31)と樋燈灯さん(29)。2人は、一般的な保護団体が引き取らないような、高齢・病気・離乳前など、手がかかるイヌ・ネコも受け入れている。

「自分はアニマルトレーナーの資格も持っています。たとえ暴れるクセがある動物でも、ケアできるんです」(甲本さん)

 保護動物は人と暮らせるように訓練してから譲渡する。他の団体と比べると、スクウの譲渡先の選定基準は緩やかだ。非常時に託せる人がいないという理由で、多くの保護団体では単身者を里親として敬遠するが、スクウでは譲渡することがある。たとえば、LGBTの中には、パートナーがいることを隠している人もいる。

「単身者の方にも、しかるべき飼い方ができそうであれば、お譲りしています」(樋さん)

生後3カ月で、一緒に引き取られたピアノ(右、現在はチェリー)とフォルテ(同ベリー)姉妹
生後3カ月で、一緒に引き取られたピアノ(右、現在はチェリー)とフォルテ(同ベリー)姉妹

飼いやすい保護猫

 実際に暮らして無理だと思えば、スクウに戻すこともできる。厳しい基準で安全を担保するよりも、幸せな生活を送るチャンスを増やしたいと考えているからだ。その代わり、対策は万全だ。万が一譲渡先を脱走したり、捨てられたりした場合に備え、保護したイヌ・ネコすべてにマイクロチップを埋め込んで登録。最終的にはスクウに戻ってくるようにしているという。

 2人の願いは「もっと多くの人に、気軽に保護動物との暮らしに挑戦してほしい」ということ。実は健康管理もしつけもできている保護イヌやネコほど、飼いやすい動物はいないという。

 殺処分されるイヌは5年前と比べると7割減、ネコも半分以下にまで減った。殺処分ゼロを目指す行政や自治体が増えてきたのは、こうしたボランティアが地道に続けてきた活動の結果でもある。

 これから動物を飼おうという人は、ペットショップを訪ねる前に、譲渡会や保護団体での出会いも考えてみてほしい。


(文・浅野裕見子/写真・松尾ゆきこさん提供/AERA増刊「NyAERA」から)

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