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藤村かおり・sippo|更新|2017/09/02

「猫は親友! みんな幸せに!」 9歳の“猫保護活動”少女が思い描く大きな夢

子猫の「小源太」を抱く渚美ちゃん
子猫の「小源太」を抱く渚美ちゃん

 保護猫の譲渡会で、猫を紹介している小さなボランティア・スタッフに出会った。小学3年生の女の子。「なんで、猫を捨てる人がいるんだろう」。将来、保護動物のシェルターを作るのが、今の夢だという。

 

(末尾に写真特集があります)

 

 京王百貨店(東京都新宿区)で8月に開かれた保護猫譲渡会。たくさんのケージが並ぶ中で、お客さんに元気に説明する半ズボン姿の女の子がいた。


「かわいい子猫でしょう。この子は『こいん』という名前で、優しくて、とても甘えん坊なんですよ」


 中山渚美(なちゅら)ちゃん、9歳。母の亜子さん(43歳)の手伝いで来たというが、大きな声と明るい笑顔に人だかりが出来ていた。


 後日、渚美ちゃんの自宅を訪ねた。東京都内の一軒家には、20匹の猫と、2匹の犬と、1羽の鳥と、たくさんの金魚……。

 

譲渡会で猫の様子を説明しているところ
譲渡会で猫の様子を説明しているところ


「あの譲渡会では、9匹参加した子猫のうち、5匹の行先が決まったの。コツは、この人という“ターゲット”を決めること。『猫は好きですか?』とか『先住猫はいますかー?』とか聞いて、いい感じだったら、猫の性格を話して、どんどんアピールする!」


 そう話す渚美ちゃんの足元で、生後2、3カ月の子猫が戯れる。居間のケージにはもっと小さな猫もいる。だが、渚美ちゃんが生まれた当時、家に猫はいなかった。


「ママが結婚する前から飼っていた長生きのインコがいて(笑)、猫が悪さをしないかって心配だったみたい。わたしが生まれた頃は、ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバーがいたの。犬が死んでから、いろいろ変わっていったらしいよ。だよね? ママ」


 ゴールデンが死ぬと、ラブが寂しがったため、ママはラブの仲間を迎えたいと、被災地の犬や野良犬の情報を探し、結局、元繁殖犬(フレンチブル)を引き取った。その後、弱った子猫を保護し、体がとても弱かったため家で引き取ることにした。


 ママの亜子さんが補足する。


「私の友人が猫の保護活動をしていて、いろいろ教えてもらいました。気をつければ、猫もインコと一緒でも大丈夫だとわかったし(笑)、家で猫を飼うと、外にも目が向くようになりました。その後すぐまた猫と出会って」

 

昨年、家族との外出帰りに偶然「痩せた猫」を発見(亜子さん撮影)
昨年、家族との外出帰りに偶然「痩せた猫」を発見(亜子さん撮影)

 ある時、渚美ちゃんとママは公園で、小学校の上級生に出会った。家で猫を飼い始めたという話をすると、「猫なら私も持ってるよ」と、その子はカバンからへその緒がついた子猫を取りだしたのだという。


「超ビックリ。近所で拾ったらしいけど、親に『元の場に戻しなさい』と言われて、戻しにいく途中だって。それでママが『ちょっと待った~』と言って、子猫を家で預かることにしたんだよね……」


 生まれたばかりの子猫に素手で触れて人の匂いがつくと、親猫が子猫を放棄することもあるためだという。


 この出来事で、渚美ちゃんの動物の命への関心が高まった。動物に関するテレビ番組を見たり、本やマンガで知識を得たり。とくに、保健所に持ち込まれながら殺処分寸前で奇跡的に生きのびた猫の実話絵本『明日もいっしょにおきようね――捨て猫、でかおのはなし』には心を動かされ、繰り返し読んだという。


「でもなんで、世の中には猫を捨てる人がいるんだろう。猫はすごく生きたいのにね……」


 そうしているうちに、渚美ちゃんは道端で飼い主のいない猫や子猫の声によく気づくようになったという。


「2年前、ママの勤め先(美容院)に行った時、ミ~ってどこからか声が聞こえてきたの。探したら、ゴミ置き場で生ゴミを食べている子猫がいた。『ちゃんと世話します』とママに頼んで、『ぐみ』って名付けたの。部屋で大事に飼ってる、私の宝物」


 その後、渚美ちゃんは、家族と食事にいったファミリーレストランの裏で、1匹のおとなの猫を見つけた。骨と皮ばかりにやせ衰えていた。


「近所のおじさんが出てきたので、話したら、子猫はもらわれたけど、親が1匹残ったって。本当はその猫も自分の家で飼いたかったけど無理で……だから里親を探すことにして、名前を『翼』にしたの。そしたら、数週間で優しい飼い主さんが見つかって、本当に翼をはばたかせて、幸せになった。うれしかった~。でね、実は私、小さな団体もやっているんですよ」


 渚美ちゃんは1年前から“猫好き”な同級生と「猫パトロール隊」を結成したのだという。隊長は渚美ちゃん。徒歩で行ける範囲で、子猫が生まれていないか、耳をカットした地域猫が元気かなどをチェックして回る。


「今まで10数匹は保護して里子に出したかな。台風前に、“猫パト隊”のメンバーのかえでちゃんが、7匹の兄妹猫を見つけたので、かえでちゃんを副隊長に任命したの(笑)。まだネットができないから、写メをママのSNSに載せてもらったりして、台風猫は7匹全員、おうちが見つかったよ。猫は親友。だから、みんなが楽しく暮らすのがうれしいんだ」

 

猫パト隊が発見から譲渡までした7匹の子猫(亜子さん撮影)
猫パト隊が発見から譲渡までした7匹の子猫(亜子さん撮影)

 しっかり屋さんだが、それでもやっぱり小学生。世話した保護猫を譲渡する時や、9歳上の兄とけんかした時には泣くこともある。5歳から空手も習っているという。


「少し前まで、夢は保護猫カフェの店員だったけど、今は、保護動物の“シェルター”を作りたいって思う、たくさん。でもそれにはお金が必要だから、獣医さんになったりして、お金をうんと稼がないとなあ」


「強い空手家になる道もある(笑)」とママが声をかけると、渚美ちゃんは目を輝かせた。


「そうか。有名選手になって日本中回って、動物保護ができればいいね……。金メダル狙うぞー」


 小さい体に、愛とエネルギーがいっぱい。動物たちの幸せを願う純粋な夢がどうか叶いますように。

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ふわふわ小源太と2ショット(保護の子猫には「小」のついた仮名をつけている)
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出典:sippo
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藤村かおり

藤村かおり(ふじむら・かおり)

ペットライター。小説等の創作活動を経て90年代後半から、ペットの取材を手掛ける。2011年~2017年週刊朝日記者、2017年からsippoメインライター。丹念な取材と独自の目線から、動物と人の絆、動物と共に生きる人の心をすくい取る記事に定評がある。ペット関連の著書に『長寿猫』『明日にアクセス』など。現在は14歳の黒猫と暮らす。


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